≪お寒かったでしょう≫と、美智子さまが・・・

  • 2015/3/11
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赤坂御苑での園遊会のニュースが

放映されると思いだすシーンがあります。

 

はっきりとした年月は忘れてしまいましたが

40年くらい昔かもしれません。

 

ある日のこと郵便物のなかに

大ぶりの立派な封筒がありました。

 

差出人を見てびっくり!

宮内庁の文字が・・・

 

一体、何ごと?

園遊会への招待状でした。

 

そのころ夫は若手経済学者として

三木総理のブレーンを努めていました。

 

≪たぶん、そのご褒美なんだろ≫と夫の反応はあっさりしたもの。

 

さぁ、それからが義母と私は大あわて!

着ていく訪問着がありません。

≪訪問着を作らなくちゃ≫

心の余裕をなくしていたので

貸衣装という選択肢も浮かびませんでした。

 

着物を選ぶ自信のなかった私は

義母に付き添ってもらい訪問着を誂えたのでした。

 

当日は、あいにくなことに朝から小雨。

着物の着付けや髪のセットに時間がかかり

最寄りの駅に着いた時は、受付け締め切りぎりぎりでした。

 

私は着物の裾を端折って、雨上りの道路を走りだします。

≪やれやれ、間に合った≫と呼吸を整え

お端折りも降ろして入り口に向かいました。

 

すると

門の入り口に立っている守衛さんが

不審に思ったらしく私たちを呼び止めました。

 

招待状を提示すると

すんなりと通してくれましたが・・・

周りを見回して初めて

≪ハハァ~ン≫と、事情が読めたのです。

園遊会へは

黒塗りのハイヤーで乗りこむのが常識だと。

 

てくてくと歩いている私たちの横を

黒塗りのハイヤーが次々と追い抜いていきました。

 

≪あっ、あそこにも歩いているご夫婦がいるわ≫

同類を一組見つけて何やらほっとしたりして・・・

 

御苑の庭を散策していると

どこからかいい匂いが・・・

 

大きなテントが張られた場所からのようです。

たくさんの人が群がっています。

焼き鳥の屋台でした。

 

やっとひと串ずつゲット。

その美味しかったこと!

御料牧場で飼っている鶏は特別なのかも・・・

やがて

天皇ご一家がお出ましに・・・

 

有名人と談笑される場面をテレビで目にしますが

私たちは、ずっとずっと端の

人の列が途切れる辺りに立っていました。

 

目の前2~3m離れたところを

昭和天皇、皇后さま、皇太子さまが通り過ぎて行かれます。

 

そして、美智子さま。

 

通り過ぎて行かれるのかと思っていましたら

私の方に近づいていらっしゃるではありませんか。

 

そして優しく微笑みながら、声をかけてくださいました。

≪お寒かったでしょう?≫と。

 

予想もしなかったことなので

≪いいえ≫と答えるのがやっとでした。

 

でも

ご病気から回復されたばかりの

美智子さまは、すこしお疲れのご様子・・・

 

私は、思わず心のなかで呟いておりました。

≪お大事になさってください≫と・・・

 

美智子さまは

【聡明】と【慈愛】という言葉が

まさにお似合いの女性。

 

ふたつを兼ね備えた女性には

それまでの人生で出会ったことはありませんでした。

 

≪理想の女性像は≫と訊かれたことはないのですが

美智子さまと答えるでしょうね、きっと。

 

ふっとあたたかい何かに

包まれたように感じた一瞬の出会い。

その柔らかなエネルギーは

今でも心の中にほんのりと灯をともしてくれています。

 

追記

それから20数年後のこと

友人から相談の電話がありました。

≪友達が園遊会に招待されたんですって。

服装のことをあなたなら知ってるかと思って≫

 

そのことが脳裏に残っていたせいか

新聞の地方欄に目が行きました。

園遊会の招待客リストが載っているはず。

≪友人の友達はどの方かしら?≫

 

驚いたことに夫の名前が載っていたのです。

≪え~っ!そんなはずない、聞いてないもの≫

 

帰宅した夫は ≪バレちゃったか≫ ですって・・・

≪実は、今までにも、2~3回くらい断ってたんだ。

オレは、ど~も、ああいうのは苦手でね≫

でもね

せっかく誂えた、訪問着が嘆いてま~す。

出番がないと・・・

 

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